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〜支援報告〜 能登半島地震で被災した子どもたちへ届ける支援

公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン

この記事について

 いつもarigatobankの企画へご支援をいただき、ありがとうございます。皆さまのあたたかい支援が、各団体の活動を支え、多くの人々や地域の助けとなっています。今回は、令和6年能登半島地震の被災地で支援活動中のセーブ・ザ・チルドレンから現地での活動についてお聞きしました。

地震から2ヶ月、これまでの支援について

―― どのように支援を開始されたのでしょうか? 発災直後から、現在までの支援について教えてください。

「セーブ・ザ・チルドレンは1月4日から石川県の被災地域に入り、子どもたちに必要な支援の調査を開始しました。1月末までに石川県七尾市、穴水町、能登町、珠洲市、金沢市を回り、避難生活をしている子どもたちに必要なものをナップサックに詰めた『緊急子ども用キット』や衛生用品、おもちゃなどの物資配布、安心・安全な空間『こどもひろば』の実施、緊急下の子どものこころのケア『子どものための心理的応急処置(PFA)』※1の講座などを行ってきました。
1月下旬には「能登半島地震緊急・復興支援チーム」を立ち上げ、現地のニーズを確認しながら、子どもの権利を守る視点から支援計画を策定して活動を続けています。」

―― 物資支援から心理面のサポートまで幅広く活動されているのですね。緊急子ども用キットというのは、どういった内容でしょうか?

「緊急子ども用キットは、避難所などの生活でも子どもが日常に近い状況で過ごせるよう、感染症に配慮したあそび道具や、水なしで使えるシャンプーなどの衛生用品、防犯用ホイッスル、子どもや保護者向けの情報提供チラシをセットにしてナップサックに詰めたキットです。
災害が起こった時にいち早く子どもたちに配布できるよう、セーブ・ザ・チルドレンの東京、大阪事務所のほか、九州地方の連携団体にも平時から保管しています。能登半島地震では、被災地域に入ってすぐにその必要性が高いことが分かり、各所で保管しているキットを石川県に送り、避難所などで生活している子どもたちへ届けることができました。」

―― ほかに、避難所などで子どもや子育て世帯に届けた物資にはどのような物がありますか?

「ニーズを聞き取り、必要な物資を届けたのですが、ある小学生は『頭を洗いたいですが、断水が続いて難しいです』と言っており、水なしで使えるシャンプーを見て『これほしかった! 使いたい』と、うれしそうな様子でした。また、自宅に戻れず、着の身着のままで避難してきた子どもからは『自分のサイズの服がほしい』、『みんなで遊べるゲームや文房具がほしい』という声もありました。翌日、子ども用の肌着や衣服、靴下、文房具類を持っていくと、子どもたちはサイズに合った服をそれぞれ自分たちで選び喜んでいました。大人が把握しきれていない子ども特有のニーズを子どもたち自身から直接聞くことで、必要な支援につなげることができました。」

緊急時に子どもたちが安心・安全に過ごすことができる空間「こどもひろば」

―― 「こどもひろば」についても教えてください。どのような取り組みでしょうか?

「『こどもひろば』は、災害などの緊急時に、避難先などで子どもたちが自分の思うままに遊んだり、友だちと過ごしたりする中で、自分らしさを取り戻せる場です。避難生活の中でさまざまな選択肢が限られてしまう子どもたちにとっては、「何をして遊ぶか」を主体的に決めることができたり、自分を受け入れてくれる相手がいることで、日常を取り戻す支援になります。同時に、こころの安定につながり、子どもが難しい状況や問題を自分の力で対処していくサポートへもつながります。また、子どもが安心・安全な居場所にいることで、親や養育者は自分の時間を持つことができ、災害後の生活再建や家の片付けに集中することができます。」

―― 子ども・親や養育者それぞれにとって良い支援なのですね。「こどもひろば」で子どもたちは何をして過ごすのでしょうか?

「七尾市、穴水町で遊び場支援の団体と連携※2して『こどもひろば』を実施しており、七尾市では1月7日に開催しました。子どもたちは、案内用のポスターを作り、どんなことをして遊びたいかをスタッフと一緒に考えながら準備を進めました。遊びの時間では、段ボールを使った工作や、ふくらませたビニール袋をボールに見立てたバレーなど、思い思いの遊びを楽しんでいました。1月18日には地域の保健師から、在宅避難や車中泊をしている世帯が少しでも運動したり遊べる機会を持てるようにとの依頼を受け、穴水町の避難所2ヶ所で『こどもひろば』を実施しました。保護者も参加したことで、災害後に会う機会がなかった保護者同士が無事を確認し、話し込んでいる様子もありました。」

今後の支援について

―― 今後の支援計画について教えていただけますか?

「避難所における子ども特有のニーズに対応した物品提供、『こどもひろば』の実施、『子どものための心理的応急処置(PFA)』に関する研修・情報提供、学校給食の補食支援、学校・子ども関連施設の備品・副菜・おやつ提供などを引き続き行います。今後、さらに各被災地域の避難所や、行政の子ども関係諸課、学校や放課後児童クラブ(学童保育)などの子ども関連施設を訪問し、子どもたちのニーズを把握し、必要な支援を届ける予定です。」

―― さいごに、arigatobankアプリユーザーへメッセージをお願いします。

「私たちは、日本国内でも自然災害の影響を受けた子どもたちに緊急支援および復興支援を届けています。地震や台風、集中豪雨などの自然災害による被害に対して、子どもたちが日常性を回復し、災害時においても子どもの権利が守られるために、緊急支援活動を行ってきています。今回の緊急支援においても、これまでの経験を活かしながら活動していきます。
子どもたちや保護者、地域の声に耳を傾けながら、日常を取り戻すことができるよう活動を展開していきます。私たちだけの力では限りがありますが、皆さまお一人おひとりのあたたかい想いとともになら、より多くの子どもたちに希望を届けることができます。どうか、私たちとともに地震の影響を受けている子どもたちを支えてください。」

インタビュー協力

山田心健 様(能登半島地震緊急・復興支援チーム マネージャー)

支援団体

公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
セーブ・ザ・チルドレンは、日本を含む世界約120ヶ国で子ども支援活動を行う、民間・非営利の国際組織です。100年以上にわたって、生きる・育つ・守られる・参加する「子どもの権利」が実現された世界を目指して活動しています。

団体公式ホームページ 2024年能登半島地震緊急子ども支援
  • ※1 子どものための心理的応急処置(PFA:Psychological First Aid)は、災害やトラウマ後の子どもたちに対し、感情的な安定と支援を提供する初期対応のことです。
  • ※2 災害時の遊び場支援などを行っている一般社団法人プレーワーカーズと連携して「こどもひろば」が実施されました。

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